それ以来光り続ける非常口

美枝子

ぼくだけの宇宙育てる試験管

洋介

断捨離も右から左に移すだけ

一歩

それは無理一から十を悟れとは

さかゑ

節高い指でひとりの米を研ぐ

操

途中下車どっきりの旅期待して

秀子

リメイクのバッグに残すははの帯

峰隆

懐石の間を満喫の奥座敷

繁一

学校は嫌と言う娘へ母のハグ

峰隆

私には大当たりかも子供たち

よし子

8Ｋで旅券持たない旅をする

光行

若い血がはちきれそうなマスゲーム

千代子

すらすらと意味の分からぬ経を読む

清孝

向日葵の迷路でわたし見失う

絹子

せいこ蟹おやつでしたと昭和っ子

和子

豊かさに慣れて忘れたありがとう

美代子

寂聴に負けぬ私の恋心

好太

入れ歯とは決して言わぬ若づくり

田甫

良い方にとって病を吹き飛ばす

澄子

お買い得財布惑わすコマーシャル

正富

妻ランチ俺は留守番カップ麺

恵美子

一本歯の下駄が舞います村祭り

芳竹

腹の底少し見せあい同居する

優美子

心臓の鼓動も添えてラブレター

良一

これでもう夏卒業と法師蝉

正則

赤とんぼススキと群れてさんざめく

百合子

逮捕へと視線そらさぬ取り調べ

榮子

支え合う家族で丸く住んでいる

千代

ダイエットこんにゃくゼリー大ばやり

広子

血糖値こんにゃく食べて頑張るよ

せつ子

こんにゃくの柔軟性を真似て見る

まきよ

山頂の空気おかずににぎりめし

一二

カラオケで昭和の日日を誘いだす

雅之

温かい笑顔で老いを化粧する

雅之

何となく誰か訪ねて来る予感

宏繁

卒業のないのがいいね句の世界

信子

運転も卒業どきかひと思案

ちえ子

波静か打ち明け話したくなり

幸子