曲線になれたらお付き合いします

由紀子

風見鶏いつか主流を泳いでる

國夫

サイフ忘れてもスマホは手の内に

美枝子

手のひらに余る幸せありがとう

さかゑ

歩け歩け私を誘う初夏の風

照恵

人生の出発点にあった誤差

操

発見が続く廃棄の公文書

繁一

焼き芋の半分心まで温い

さよ子

子沢山母の夢中を忘れ去り

峰隆

石につくコケを食べても名は香魚

田甫

芋粥がこんなにうまい病み上がり

光行

編みながら胎児へ夢を抱く乳房

恵美

辛抱を味方に開ける明日の窓

照恵

家計簿にどう響こうと子は宝

政枝

群れを出て今少年のひとり立ち

正子

行間の温もりにある人間味

絹子

冤罪が晴れてわたしの海が凪ぐ

文代

言い訳をする程冴える妻の感

清成

悩み事はたまた恋が出る吐息

澄子

かたむけて心にあそび入れてやる

栄子

花咲けば終わる命に我写し

静枝

さわやかな目覚めうれしい予定表

うめの

大根で刺身が生きる妻の役

由利子

すずしろの変身レシピひねり出す

京子

言い訳に耳が遠いととぼけ顏

雄二郎

取り分がいつも小さい母の皿

恵子

運転手脇見も出来ぬいろは坂

典子

酒の酔い手伝い父の雄弁さ

榮子

坂道で出会う情けに手をあわす

典子

家の中年代物が時刻む

ゆり

痛いとこ突かれ力が抜けていく

平一郎

だらしなく自分ばかりに甘い人

正子

捕まってホッとしました本音だろ

宏繁

体重計元気にピンと跳ね上がる

美恵子

ゴールまで走り回ったボールペン

快生

今日は雨私も畑も息をつく

かず子

吐き出してしまえば半分楽になり

喜代子

ボール投げ分けて欲しいよその元気

信子

すれすれの位置で勝ち取る運不運

幸子